花粉症(アレルギー性鼻炎)は、日本人の25%が発症している代表的な国民病です。
一度発症してしまうと治療は難しく、花粉症の人数は年々増加し続けています。
花粉はスギ花粉、ヒノキ花粉以外にも1年を通して飛散しているため、1年中花粉症に悩む人も少なくありません。
本記事では、花粉症と腸内環境の関係と免疫力への影響について詳しく解説していきます。
花粉症に悩む人はぜひ参考にしてください。
花粉症・アレルギーの原因
花粉が体内に入ると、免疫機能により身体に受け入られるかどうかを判断されます。
花粉が異物として認識されると、鼻や目のマスト細胞から花粉を攻撃する抗体が作られ、花粉を外に出そうと抵抗します。
この抗体の働きがアレルギー反応であり、花粉症のメカニズムです。症状が悪化すると頭痛や不眠などを引き起こすこともあります。
免疫が過剰に働く為起こる
花粉症になってしまう人は、身体の免疫反応が過剰になっているためです。免疫反応とは、体内に異物が侵入したときに身体を守ってくれるシステムです。
免疫反応によって花粉を体外に出そうとして、透明のさらっとした鼻水や鼻づまり、くしゃみや目のかゆみなどを誘発します。花粉が体内にある限り、これらの症状は止まらなくなってしまうのです。
過剰な免疫反応のある人は、遺伝的にアレルギー体質であることが主な原因ですが、食生活が原因であることもあります。
免疫機能が低下すると症状も悪化する
花粉症の症状がひどくなってきたら、免疫力が低下している可能性があります。
免疫力の低下はアレルギー症状を起こしやすくします。
原因はストレスや食生活、季節の変化など様々な理由が考えられますが、症状が少しでも悪化したら先手を打ってアレルギー性鼻炎薬を飲んでおくと、症状の悪化を未然に防いでくれます。
まずは、自分の生活習慣を見直して、規則正しい生活を送るようにしましょう。
免疫機能を正常に保つことが大切
免疫機能を正常に保つためにはバランスの良い食事、適度な運動、質の良い睡眠を心がけましょう。
過度な喫煙や飲酒も避けなければなりません。
免疫力の低下は、花粉症だけでなく、風邪をひきやすくなったり生活習慣病になりやすくなります。免疫力を正常に保つことは、花粉症だけでなく病気の予防にも繋がるのです。
免疫力を保ち、強い健康な身体を作っていきましょう。
腸と免疫の関係
腸と免疫力は密接に関係していて、免疫力を高めるには腸内環境をよくする必要があります。
腸と免疫の関係について詳しく解説していきます。
腸は免疫の中枢を担っている
人間は食べ物や飲み物を口から摂取しますが、実際に栄養分や水分を体内に取り入れているのは腸です。
そして摂取したものの中には、細菌や有害物質も一緒に飲み込んでしまっている可能性があります。
それらを排除するのも腸の役割です。
このように腸は健康に生きていくために重要な働きをしています。
そのため腸内には免疫細胞が体全体の7割と集中的に存在していて、腸は免疫力の7割を決めていると言われています。
アレルギー症状の緩和には腸内環境の改善を
花粉症だけでなくアトピー性皮膚炎などの人は、健康な人の腸に比べると、ビフィズス菌や乳酸菌が少なく、大腸菌、クロストリジウム、黄色ブドウ球菌が繁殖しています。
この結果から腸内環境はアレルギー症状に関連性があると言えます。
腸内環境を整えて善玉菌を優位にすることで、アレルギー症状の緩和に繋がります。
腸内環境の改善方法とは?
便秘や新陳代謝が悪い人は、腸内環境が悪化している可能性があります。
腸内環境を良くすると、アレルギー症状が緩和されるだけでなく、太りにくくなったり、ストレスを感じなかったりと身体にいい影響を与えてくれます。
腸内環境は食生活を意識することで簡単に改善することができます。
ポイントを解説していきます。
食物繊維の豊富な食事を心がける
食物繊維は水溶性食物繊維と不溶性食物繊維の2つに分けられます。
善玉菌のエサとなって腸内環境をよくするための手助けをしてくれます。
腸内環境がよくなることで腸の免疫機能も向上するため、花粉症の症状が緩和されます。
それ以外にも、糖の吸収を抑えたり、血中のコレステロールを低下させる働きがあります。
便を柔らかくして腸のぜんどう運動を促し、お腹の調子を整えてくれます。
水溶性食物繊維は、ワカメやひじきなどの海藻類などに多く含まれ、不溶性食物繊維は大豆やごぼうなどに多く含まれています。
この2種類の食物繊維を積極的に摂取して、健康な身体を維持しましょう。
肉食中心の食事を見直す
肉ばかりの食生活をしていると、腸内の悪玉菌である大腸菌やウェルシュ菌を増殖させてしまいます。
特に赤身肉は、悪玉菌によって腸を腐敗させ便秘に繋がります。
便やおならも悪臭になり、大腸ガンなどのリスクも上がってしまいます。お肉を食べないとタンパク質が不足してしまうと思われがちですが、タンパク質の1日の必要量は、体重1kgあたり1gです。
ほとんどの人がそれよりも多くのタンパク質を摂取していて、タンパク質の過剰摂取は胃腸に悪影響を与えます。海藻や大豆などにもタンパク質は多く含まれているため、必要量は植物食だけでも取ることができるのです。
野菜中心の食生活を意識する
野菜は食物繊維を多く含むものが非常に多いです。
腸内環境は善玉菌と悪玉菌のバランスで決まるため、、野菜を積極的に摂取することで善玉菌の量を増加させることができます。
可能であれば野菜は生のまま食べると良いです。
生野菜には食物繊維だけでなく腸内環境改善にも重要な酵素を多く含んでいます。
葉や皮まで全部食べるとさらに効果的です。
ちなみに野菜は1日350g以上の摂取が理想と言われています。
だいたいサラダや野菜主体の小鉢5皿分くらいです。毎食必ず野菜を2皿分ほど摂取する食生活を心がけてください。
乳製品の摂りすぎにも注意
乳製品に含まれるオリゴ糖や乳酸菌はビフィズス菌のエサとなり、乳酸や酢酸などの酸性物質を作り出します。
悪玉菌は酸性を好まないため、増殖スピードを抑えることができます。
しかし、乳製品は取りすぎてはいけません。
牛乳などに含まれる乳糖は、日本人は分解しにくいため、乳糖が分解されないと下痢などの症状が起きます。
下痢にならないような自分にあった適量を摂取するようにしましょう。
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まとめ
花粉症は腸内環境を整え、免疫力を高めることで改善していきますが、一度発症すると治癒することは難しいといわれています。
そのため、花粉症に悩む人はセルフケアをして、花粉症とうまく付き合っていかなければなりません。
自分の食事、睡眠、運動などの生活習慣を一度見直して、規則正しい生活を心がけましょう。
そうすれば花粉症は改善に向かっていくことでしょう。
【出典】
新谷弘実(2005)「病気にならない生き方」サンマーク出版