潜在酵素とは?
体内酵素(ボディ・エンザイム)の原型となる酵素
体内には酵素が5,000種類以上存在しているといわれ、それらをまとめて「体内酵素」といいます。
体内酵素は、消化・吸収・運搬・代謝・排泄などあらゆる生命活動に関わる重要な働きをしていて、「消化酵素」と「代謝酵素」の大きく2つに分けられます。
この体内酵素については、最近の研究結果により、潜在酵素(ミラクルエンザイム)から作られることが分かってきました。体内酵素の原型となる酵素、それが潜在酵素なのです。
私たちの身体にはさまざまな酵素がありますが、酵素の原材料はタンパク質であるため、一昔前までは「タンパク質をとっていれば酵素は常に作られていくもの」と考えられていました。
しかし、20世紀の後半、アメリカのエドワード・パウエル医学博士によって「体内で一生につくられる酵素の量は限られている」という説が提唱されました。
パウエル医学博士がいう一生の間につくることができる酵素のことを「潜在酵素」といいます。そして、私たちの身体のあらゆる酵素は、この潜在酵素をもとに作られていると考えられています。
まだ存在が確認されたわけではなく仮説
潜在酵素についてはいまだ研究段階での仮説であり、その存在が確実に証明されたものではありません。潜在酵素の存在はこれから解明されていくものと考えられます。
潜在酵素が存在すると考えた3つの理由
私たちの生命活動を考えたとき、潜在酵素の存在あってこそ成り立つと考えられることがいくつかあります。
仮に体内酵素がすでに完成されたもので、体内にすでに一定量常備されているものだとしたら、私たちが何も食事をしなかった時間が丸1日あったとすると、食事を摂らなかったことによって温存された消化酵素は、無駄な存在になってしまいます。
また、タバコを吸う習慣がある人に対して、タバコの有害物質に作用する酵素が一定量だけしかなかったとすると、人間の身体は有害物質ですぐに汚染されてしまいます。
一方、潜在酵素が体内に存在すると考えると、食べ物を食べたときには体内にある消化酵素を増やし、タバコを吸ったときには体内にある代謝酵素を増やすといった対応が可能となります。
このように、状況に応じて臨機応変に対応できることが、潜在酵素が存在しえると考えられる背景です。
【理由1】ある部位で酵素が消化されると、別の部分の酵素が不足する
体のどこか1か所で大量の酵素が消費されるということは、それ以外の場所で酵素が不足してしまうということになります。
大量に食事を摂ってしまったときには、体内で消化酵素が大量に使われ、その分、細胞の修理や修復、神経系、ホルモン系、免疫系を正常に保つ酵素が不足することになるのです。
【理由2】徐々に体の耐性が強くなっていく
例えばアルコールを常用していると、体の中で耐性ができあがっていきます。
例えば、お酒に強い体質、弱い体質というものがあります。
アルコールを分解する酵素の量は人によって違っており、お酒を多く飲める人と全く飲めない人と、人によって差があることは広く知られていることです。
お酒を多く飲める人は、アルコールを分解する酵素の量が多く、お酒が飲めない人は、アルコールを分解する酵素の量が少ないということになります。
しかし、アルコールが全く飲めない人でも、少しずつ訓練していくと、だんだんお酒が飲めるようになってきます。
これは、アルコールを飲むことにより、肝臓でより多くのアルコール分解酵素が分泌されるように体が変化したことが考えられます。
【理由3】一人の人間が生み出せる体内酵素には総量がある
体の一部分で酵素が大量に消費されると別のところで酵素が不足してしまうことや、体の中で耐性ができあがることを踏まえると、それぞれの酵素は、体の状況に応じて臨機応変に作り出されているのではないかと考えることができます。
このように臨機応変に酵素の種類や量が変化するのは、どんな酵素にも変化できる潜在酵素が体内に用意されているからではないかと考えることができます。
酵素の基礎知識
私たちが生命活動をしていく上で欠かせない存在の酵素。
体のありとあらゆる部位に酵素は存在しており、生命活動を維持するために不可欠なものです。
年齢とともに体内酵素の量は減っていく
私たちの体内にある体内酵素は、年齢により減少していくといわれています。25歳から徐々に減少し始め、40歳以降は急激に減少することが分かっています。
一生のうちに作られる酵素の量は限られている
私たちの生命活動は酵素によって支えられています。
ですが、一生のうち作られる量も限られていることがわかってきました。
健康的に生きていくためにも、体内の酵素の消耗を防ぐことに加え、食事から補うことで体内酵素を節約する習慣が必要になると考えられます。
まとめ
私たちが生きていく上で欠かせない存在の酵素。
「潜在酵素」と呼ばれる酵素が、全ての体内酵素の原型であるという説も提唱されてきましたが、今だ研究は続いております。
ただ、身体の仕組みを考えると、酵素の重要性は見逃すことはできず、潜在酵素の存在も否定はできません。
人間が一生のうちに作り出せる体内酵素の量にも限りがあることを踏まえると、潜在酵素を極力消耗しないような生活を送ることが大切なのです。
また、人間が一生のうちに作り出せる潜在酵素の量には限りがあるというもわかってきました。潜在酵素を消費しない生活を送ることが大切なのです。
【出典】
新谷弘実(2005)「病気にならない生き方」サンマーク出版
新谷弘実(2008)「図解 病気にならない生き方」サンマーク出版